両親は、私が5歳くらいのときに離婚している。
親権はもちろん母親に(ちなみに父親側に引き取られた場合、私と弟は施設に預けられる予定だったそうだ)。
離婚後、父親には6歳くらいまでポツポツ会っていたみたいだが、ある日私が「もう会いたくない」と言ったことで全然面会しなくなったそうだ。
そこから16年経ったのち、父親に再会した話し。
母親は、離婚後数年経って再婚した。継父は当時20代半ば、母は30代半ばの年の差再婚。自分が結婚して改めて思うが、2人のコブ付き30代の母と結婚した義父はなかなか気合いが入った決断をしている。
再婚後三男が生まれたが、継父は比較的分けへだてなく接してくれたのではないかと思う。世のコブ付き再婚は、何かと複雑な問題も多いイメージだがこの点はとてもありがたかった。
母親は離婚後の養育費をもらっていなかったので、母子家庭時代は一時住む場所もままならないほど苦しかった。虎のように気の強い母は、まともに稼ぐ能力もないくせに金はいらんと言って離婚したそうだ。
本人はそれでスカッとしたのかもしれないが、子の側としてはいい迷惑であった。今でもよく覚えているのは、蹴ったら壊れそうなボロアパートに家族3人で住んでいたことである。
主要駅から歩いて3分の分譲マンションで暮らす2歳の息子とは大違いの境遇だ。
そこから月日は流れ、私が22歳、次男が20歳のとき。ひょんなことで実の父親が僕の地元で勤務していることを知った。
物心ついて以来、母親が実の父親の話をすることは殆どなく、聞くのも気まずかったので、実の父親の存在を全く忘れたまま過ごしていた。
実の父親は公務員で、県内を転勤する職種であったこと、再婚して子がいることだけは祖母から聞いて知っていた。
普段車で何度も通りがかっていたところに、16年も会っていない父親が勤めているという事実は、色んな意味でショッキングだった。
実の親父が地元で勤めていることをネタに私と弟は話し合った。
弟「まじウケるんですけど。てか会いに行ってみる⁈」
私「いやいや、いきなり実の息子が職場に会いにきたら迷惑だろ。」
弟「でもさ、自分たちのルーツじゃん。どんな人間か気になるよね?」
私「それは確かに気になるな。顔とかやっぱ似てんのかな…。」
このとき私は就職が決まっており、翌春には地元を離れている可能性大であった。地元を離れる前に、自分のルーツであるリアルとーちゃんに会っておきたいという好奇心はかなりあった。
なんといっても殆ど父親のことは知らないに等しかったし、どんなミテクレなのかも確認しておきたかった(自分はおぼろげに顔の記憶があったが、弟は小さかった為殆ど父親の記憶がない)。養育費を貰えずに苦労した少年期の苦情をぶつけてやりたい気持ちもあった。
私「よっしゃ、いっぺん会ってみようか!」
私と弟はリアルとーちゃんに会いに行くことにした。
長いので分けます。
続く