メルカリでの個人間物品取引全盛の今日この頃
ネット上では信じられないものが日々売れているそうだ(古新聞やトイレットペーパーの芯、現金)。
世の中(ネット上)には色々なニッチニーズがあるものですね。
昔のことを思い出すなー(ぽわんぽわんぽわーん)
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20歳の思い出
大学生の頃、同級生だった友人の起業したネットショップでアルバイトさせてもらっていた話。
(この友人は勉強も学校も嫌いだったので大学には行かず、高校卒業間際に個人事業主として独立した。)
ここではブランド物(もちろん正規品)の小物(財布やキーケース、名刺入れ等)を主に取り扱っており、主たるマーケットは楽天市場、Yahoo!ショッピングモール、ビッダーズであった。
実店舗でもネット上でも同じことだが、やはり資本力の大きいところは仕入れ時点から圧倒的に有利であり、
独自の仕入れルートを使い、圧倒的な資本にモノをいわせて、こちらとは比べモノにならない掛け率(原価率)で安く仕入れている。
(ブランドによっては定価の30〜40%で仕入れているそうだ)
当然私が働いていたショップは仕入れ値で大資本に敵うはずもなく、
①超薄利で販売する、または
②購入の為の比較検討をあまりしない人を相手に販売する
上記の方式で細々と営業するしかないわけである(ただ従業員二人のショップだったので、それでも何とかなっていた)。
そんな日陰の商いを営んでいたある日、友人であるこのショップオーナーはあるアイデアを思いつく。
友人「おい、このブランドなんだけどさ、お店で定価で買った金額に上乗せしても売れると思うんだよな」
※このブランドは比較的手頃で、誰もが一度は触れたことのある大学生御用達ブランドである。
ぼく「え、そんな不合理なことあるか?このブランドは日本全国わりとどこにでもショップあるぞ。定価に上乗せして買う意味が分かんねーよ。」
友人「て思うじゃん?でもオレ中古ブランド品を売る中で、これは絶対売れると確信したんだよな。中古でも定価より高く売れてる実績ぐあるんだよ、試しにやってみようぜ!」
ぼく「そうだな〜、まぁ毎日ネットショッピング市場みてるお前が確信したんだったら可能性あるかもなー、やってみっか」
お互い真剣に取り組むために、アルバイトの私も商材仕入れの為のお金をかき集め、とりあえず50万円つくった。
(ちなみにこの軍資金の70%は当時社会人だった彼女と祖母から借金して調達した、ちょっぴりクズなボク)
商売大繁盛
そのお金で私も初期投資のリスクを一部とりながら、友人とこのアイデアを実行に移した。
結論から言うと、このアイデアは大成功した。
ネット上でキレイに撮影した商品画像と、20%から30%定価に上乗せした価格で売り出すとすぐにポツポツ売れ出したのだ。
ぼく「すげー!マジで売れてますやん!なんでだ!?」
友人「おっしゃ、品数をもっと充実させれば、見栄え良くなってもっと売れるぞ。売れ筋を見極めて売れる内にバンバン売るぞ!」
当初10品程度だった商品ラインナップは20、30と増えていき、現実のショップと変わらない品揃えになっていた。この商材でこの手法をとって販売している業者は恐らくいなかった。
売れる商品と売れない商品が明確になってきたので、資本の回転を良くするために、売れ筋は大量ストックし、
そうでないものはドロップシッピング方式にして、売れたらショップに行き買い付けるような形にして売りまくった。
(このブランドショップは直営ショップだけでなく、百貨店でも取り扱いのある商品だったので、仕入先はかなり充実していた)
毎週やってきて数十万円単位で、現金で買い物していく貧乏臭い大学生をみて、ショップの店員は相当不思議に思っていたことだろう。
気分はさながらバイヤーであった。
(当時はイベントの景品で使うんです、みたいな適当な理由で買い付けていた)。
百貨店ではいつのまにかVIP会員になってしまいラウンジサービスも使えるようになってしまった。百貨店の袋いっぱいに商品を抱えながら、ラウンドの常連マダム達の隙間でお茶を飲む私。
来る日も来る日もマンションの一室で梱包・発送作業に励んだ。出せば出すほど売れるのだ。
充実していた。
就職のイメージが明確に湧いていなかった(かつ自信もなかった)ぼくは、大学をいったん休学し、このネット販売事業に専念することとした。
クリスマスシーズン等の売れ行きは半端でなく、通常月の2.5倍くらい売れた。
ショップオーナーである友人は、私が買い付けた数に応じて歩合給を払う形の報酬形態をとっていたが、そこそこの仕入れ量になってきたので固定給方式に切り替えた。当時月に28万円もらっていた。
すぐに軍資金は回収し、7ヶ月ほどで僕の口座には250万ぐらいの小金が貯まっていた。
家も貧乏だった私は、中学時代からずっとアルバイトして小遣いや学費を稼いでいたが、生まれて初めてできたまとまった貯蓄にとても興奮した。(このアイデアを実行する前は10万円くらいだった)
ボク(ちょー面白いな!もしかしたらこの道でこのまま進んで行くのかな、オレ。ここで商売の為に大学中退ってのもなんかカッコいいな!)
そんなことを思いながら、仕事が終わると、ショップオーナーである友人と今後の商売のこと、世の中のこと、自分自身のことについて夜遅くまで語り合っていた。
日々理想と現実の圧倒的な落差の中で悶々としていたモラトリアム大学生は、これ以上ないくらいハイになり、生まれて初めて仕事にのめり込んでいった。
長すぎるので第二部に続く
第一部 完