アメリカに来て初めて家族を旅行に連れて行った。
大体の米国駐在員の人は漏れなく、"今しかない!!"とばかりに米国の名所旅行を楽しむようだが、
私は日々の仕事と家族のお世話をすることにいっぱいいっぱいで全くと言っていいほど米国内の遠出はしていなかった。
そもそもが出不精でおうち大好き・旅行しなくてもストレスたまらない派なのもあるが。
自分は出張ベースで主要な米国都市を訪れる機会がちょこちょこあったが、
どうしてもビジネス出張では自由行動時間が限られているし、
毎度慣れない出張先での運転や度々発生するフライト遅延・日本からの出張者対応や出張同行者との自腹飲み会のために
とにかくしんどいイメージしかなかったのでなかなかプライベート時間を削ってまで長距離旅行をする気にはなれなかった。
しかし先日の不動産売却成功により早々に今年の貯蓄目標6千万円を達成したとき、
世界的インフレの最中でキャッシュを一生懸命貯めてる自分がちょっとすべってるような気がしてしまったので、今年は家族の思い出にお金を使おうと決めた。
行先はLas Vegas(+Maroon5コンサート) → Antelope Canyon → Monument Valley地区という定番べたなコースだ。
ラスベガスにてMaroon5のライブを家族で楽しんだのち、レンタカーでAntelope CanyonとMonument Valley地区へ長距離ドライブ・宿泊する超ベタな観光スポットをエンジョイした。
結論から言うとマジでお金とエネルギーを使う価値のある旅行だった。
本当人生でトップ1, 2くらいの旅行だったかもしれない。
自分はどちらかというと
旅行の疲れ>旅行による気分リフレッシュ
のタイプだったが、今回の奴は本当にBefore 旅行とAfter 旅行で人生の感じ方が変わるくらいのインパクトがあった。
自然という名の神様がデザインした(Lower) Antelopeの美しい谷を散策したとき、
自然すげー!みたいな陳腐な言葉では片づけられないようなこの世の神秘を嚙み締めた。
Monument Valley地区にあるForrest Gumpポイントを目指してドライブした道中で、自分の人生で初めて自然の姿に感極まって涙が出てきた。
この風景をみるまで自分は全く米国の前提を理解していなかった。
広大な大陸文化と島国文化の前提の違いを肌で本能的に理解した。
まるで別の惑星を家族で探検しているような感覚。
携帯の電波も入らない完全なむき出しの自然、かつ全方位地平線まで広がる荒野。
語彙力がなさ過ぎてうまく伝えられないが、写真で見てもGoogle Mapでも見ても絶対に理解できない壮大さだ。
よくこの風景を見た人は"自然と比べたら人間ってちっぽけだな"、とか思うそうだが自分は「この偉大なる自然を解明しながら文明を切り開いた人類ぱねー!」と全く逆の感想を持った。
アメリカ大陸に渡ってきた入植者たちは、
このいかつい大陸をほんの200~300年間の間に探索し、切り開き、インフラを整備し、世界に名だたる都市をいくつもつくりあげ、世界で最も経済的に豊かな国を作り出した。
世界中から渡ってきた人間たちが協力し、米国東西を結ぶ道路や鉄道を整備した。
移民の子孫たちが素晴らしい音楽や文化、テクノロジーをこの地で生み出した。
この事実の凄さを逆に感じさせてくれる風景だった。
この広大な土地を横切って西へ向かった開拓者たちはどれだけの人が中途で息絶えたのだろう、
途中でカリフォルニアへ行くのをあきらめて真ん中に定住した人たちもいたのだろうか。なぜこんな乾燥し土地も肥沃でない内陸の荒野に街をつくろうと思ったのだろうか。
とにかく脈絡なく様々なインスピレーションが湧いてきて、人類の近代史に敬意を表させてくれる経験だった。
文章ではまったくもって自分が感じた感情を表現できていないが、とにかくここ10年で最もお金を使う価値のある経験の一つだったのはまちがいないっすね。
銭ゲバ・お金の魔術師の私が断言するのだから相当確かな体験談よ。
とにかく、健康なうちに家族でこういう場所を訪れることができて自分は幸せだ。
今まで健康に何とか生きてのびてこれたことに、ここまで世代を繋いできてくれたご先祖様に心から感謝したい。
旅行は7,000ドル、感動はプライスレス、思い出はフォーエバー。。。
おわり