本当の愚か者は誰なのか
昨今の不動産投資過熱(今はもうクールダウンしてきてる?)に関するメディア報道を目にするたびに、私は日本人の投資 / マネーリテラシーの低さ、未成熟さに心底がっかりしてしまう。
かなり古い話題だが、
・かぼちゃ・スルガの問題
・NHK番組のクローズアップ現代の不動産投資関連特集(地方でアパート建てすぎぃっ!)
などなど、いずれも
・悪どい不動産会社が無知な一般市民を騙くらかし、金融機関を欺いた
・または融資先に困った金融機関がいい加減な審査で収支ギリギリの不動産運営事業にバンバン資金貸付をしている等、
いずれも業者側の責任に言及するばかりで、間抜けで強欲な投資家(メディアの中では被害者)の責任を追及するものは見たことがない。
これが本当に過去GDP世界二位となった国の経済リテラシーなのか、世界中にモノを売りまくってきた経済先進国の成熟度なのか、と言いたい。
まず、消費者に対していい加減な説明をしモノを売るような不動産業者、金融庁のガイドラインを逸脱するような融資をする金融機関が正しいとは言わない。
これらの行動は是正されてしかるべき企業行動である。
私がガッカリしているのは、欲をかいて自ら業者のセミナーに参加し、投資(という名の他人任せの欠陥だらけの投機)に手を出し、本来ならば借りることができない大金を、自分で実印を押印し、融資してもらうという益をうけておきながら、いざ想定した利益がでないとなると
「俺たちは業者に、銀行に騙された!」
「賃料が下がった!入居がつかない!どうしてくれんだ!」
「リスクについて尋ねても大丈夫です、ばかりでまともなリスク説明が無かった!」
「いい加減な審査してローン通してくれたせいで大損した!ローンは払わないからな!×〆%!∴‰!!!」
等とふざけた戯言を大の大人が本気で主張し、弁護士をたてて投資ローンを無効にしようとしている人までいるという。
彼らに聞きたいがもし仮に、購入した不動産の運営が順調であり、ある程度のキャッシュフローが出ていたとしたら、
そんなときに金融機関のいい加減な融資が問題になっていたとしたら、
彼らは自ら名乗り出て金融機関を訴えただろうか?
俺たちは適切なプロセスを踏んで融資を受けていなかった!物件は手放すからローンを取り消せ!と言っていただろうか?
こんな甘ったれた大人が上場企業の役職者であったり、経営者であったり、公務員だったり、自分に指導している上司だったりするのだから、
日本社会はまだまだ成熟した契約社会などではなく、本当の意味での自己責任を理解できていない人情社会なのだろう。
日本では 個人が投資をしている、というとなんだかカッコよく聞こえるけれど、実態はただ株や不動産を買うという「判断」をし、実際にお金を入金し、または融資を受けてアセットを購入しているだけのことである(カッコいいことでも賢いことでも何でもない)。
この行為はハタから見ると熟練の投資家も、素人にも全く違いはないのだけれど、その判断をするという背後にある調査量、熟考、そして「損を取る覚悟」が違うだけのことである。
本来庶民にしてみれば人生を変えてしまうような規模の一億円を銀行から借入れる、という大きな判断をするのに、今日は朝の占いが一位だったから決断します、なんてする人がいるだろうか。
その程度の調査・熟考でマンションやシェアハウスを買った人達は、そんな自身の愚かさを省みないのだろうか。
メディアは、一億円超の事業を買うのにロクに勉強せず、金も準備せず、最悪の想定もせずに軽々しく融資を引いた投資家の責任を追及しないのだろうか。
(メディアは単に影響力の大きな企業側を叩いて盛り上げているだけだと信じたいが)。
この調子だと、日本人が本当の投資を理解するのにあと50年くらいかかりそうだ!
今だにレバをかけたFX取引を投資と言っている人が大半なのだから・・・
終わり